合法と違法のハザマ。ギャンブルを規制する賭博罪とカジノ

日本ではカジノどころか、お金を賭ける賭けごと(賭けマージャン、賭けゴルフなど)がそもそも禁止されています。

高岡市職員らがゴルフ賭博容疑で40人書類送検

富山県警高岡署は3日、
ゴルフコンペの優勝者らを当てる賭けをしたとして、同県高岡市環境サービス課の職員ら40人を富山地検高岡支部に書類送検した。

職員らは昨年5月26日、石川県小松市のゴルフ場で行ったゴルフコンペで、優勝者と準優勝者を当てる賭けに参加。
1口200円で551口を集め、総額11万200円の賭博をした疑い。

コンペは環境サービス課の愛好家らが有志で開催。実際にプレーしたのは18人で、残り22人は賭博にだけ加わった。当時、OB2人を除き38人が現役の職員だった。2008/10/03 共同通信

賭け事は

  • 勤労意欲を麻痺させる
  • ギャンブル依存症患者を生む
  • 犯罪を誘発する
  • 暴力団や外国人犯罪組織が入り込む
  • 青少年の育成への悪影響がある
こういったマイナス面を考慮して禁止行為となりました。明治41(1908)年当時の日本人の倫理観が土台になっています。

そして風俗犯罪として賭博行為を取り締まりながら、例外として個別に特別法で認めています。

特別法で現行認められているギャンブル

競馬
競馬法
競輪
自転車競技法
競艇
モーターボート競走法
オートレース
小型自動車競走法
宝くじ
当選金付証票法
スポーツ振興くじ
スポーツ振興投票の実施等に関する法律

風営法の対象ではない別法で現行認められているギャンブル

資産家の方なら利用されたことも多いでしょうが、投機的な運用手段である金融デリバティブや先物取引、銀行にだまされたと自殺者まで出した変額生命保険も同じ仕組みでありながら、いまだ禁止されず健在です。

金融デリバティブ
金融商品取引法
先物取引
商品先物取引法
生命保険・損害保険
保険法
商店街の福引
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

商店街の福引抽選なども、1等ハワイ旅行とか2等熱海旅行なんて豪華な景品がもらえます。

透明でない法律

特別法で許されていませんが、ラスベガスに行ってカジノをしても、駅前でパチンコをして換金しても、捕まることはありません。でも法の設立趣旨からすると合法ではありません。同じく非合法の競馬のノミ行為は捕まりますし、日本のカジノで換金して捕まった人もいます。

こうして改めてまわりを見回してみると、賭博罪というのはかなりアイマイで困った法律だなぁと怖くなります。罰せられることなのかセーフなのか、明快なルールが見えません。法律の専門家でも立ち位置によって言うことが違います。

インターネットで日本にいながら参加できる海外のカジノになると、さらに難解さは膨れ上がります。

処罰されるのは「賭博罪」

短い条文なので賭博罪を見てみます。刑法の185〜187条に書かれています。

刑法第185条(賭博罪)
賭博をした者は、50円以下の罰金又は科料に処する。
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

刑法第186条1項(常習賭博罪)
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。

刑法第186条2項(賭博場開張図利罪)
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

刑法第187条1項〜3項(富くじ罪)
富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
富くじ発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する。

この規定は明治41年(1908年)に作られました。その当時の日本人の倫理観が基準となっていますので、賭博が相当重い罪に考えられていました。賭博をする人間はろくでなしとまで言わんばかりです。

そんな古い時代に作られた法律でありながら、潤う強大な利権が絡むために見直しが一向に進みません。

条文の理解を深めるために

定義のされていない重要部分「賭博とは何か」と「賭博でも一時的な娯楽に供する物だったら罰せられないというそれは何か」についても知っておいたほうが安心できそうです。

「賭博」

賭博とは、「偶然性を含む結果に金銭や財物を賭ける行為」と旧・刑法の条文には書かれていました。

「当事者の一方が危険を負担せず、常に利益を取得する場合、賭博罪は成立しない。」と大正6年4月30日の大審院での判例があります。

これらにより、
一方が景品や賞金をすべて提供し、他の人は負けても損をしないものならば賭博ではないことがわかります。

  • 例:主催者や協賛企業が景品や賞金を提供するトーナメント

マージャン大会に「待った」 参加費を賞金、「賭博の恐れ」

都内の広告会社が企画したマージャン大会が賭博にあたるとして警察庁がストップをかけた記事がありました。

参加費4,000円、優勝賞金150万円の「第1回・さわやかカップ麻雀フェスティバル」というマージャン大会で、全国から募った1,500名のアマチュアと招待プロ50名が対戦するトーナメントでした。

警察庁が問題にしたのは、優勝賞金の原資に参加費が使われるというところ。

もし参加費が会場使用料などの大会運営費だけに使われるならば問題はありませんが、賞金に参加費の一部が充当される場合、参加費は賭け金に相当すると判断できるため賭博行為との見解。
2004年03月のニュース

「一時的に供する物」を賭ける場合は罰しない

賭博ではあっても賭けるのが「一時的に供する物」だったら罰しないという例外規定。

この意味について昭和4年2月18日に大審院での判例があります。それによると、「関係者が・一時娯楽のために・消費する物」を指すそうで、たとえば負けたら缶コーヒーをおごるとか、晩飯を賭けるといった場合など、その場ですぐに消費してしまえるような一般的なものが該当するそうです。

金銭そのものを賭けることはたとえ1円であっても賭博である(昭和23年10月7日の最高裁判決)としていますが、これらを買わせるために負けた者にお金を出させることは賭博罪となりません(大正2年11月19日の大審院判決)。

パチンコの問題

パチンコ屋は風営法の23条で、お金や商品券を景品で出してはしてはいけないこととなっています。

景品が「一時娯楽のために消費する物」の範囲内であれば、賭博罪は成立しないと言う学者も言わない学者もいます。

でもパチンコ屋で勝ったら生活雑貨やお菓子を貰うより、現金に換える人が圧倒的ですよね。

風営法23条3項では、パチンコ店が景品を買い取ることを禁止していますし、多くの都道府県も条例で、店外換金を禁止しています。これに間違いなく違反していますよね。

でもこれまで賭博罪で起訴されたパチンコ店も、パチンコで換金して賭博罪でつかまった人も、だれもいません。

海外のオンラインゲームで賭博 経営者と客の男を逮捕

上に書いたパチンコの問題ととてもダブるので載せました。海外のオンラインカジノ=危険という構図ではありませんので、くれぐれも間違えないようにしてください。

海外のオンラインゲームサイトを利用して客に賭博をさせていたとして、新宿・歌舞伎町にあるインターネットカジノ店の経営者ら3人が常習賭博の疑いで警視庁に逮捕されました。

9月25日、新宿区歌舞伎町の雑居ビル地下1階の店舗内にパソコン12台を設置し、海外の賭博サイトに接続して客の男(63)=賭博容疑で現行犯逮捕=に金をかけさせてバカラなどを行わせた容疑。

客の男(63)も賭博容疑で現行犯逮捕です。

警視庁によるとこの店では1pt100円で勝った客に換金するシステムで、1月の営業開始から先月までにおよそ7,000万円の売り上げがあったとみられています。

プレイする場所と換金場所が同一だと、賭博でないという言い分けが通用しなくなりますね。
2012/10/02 サンケイニュース

儲かる人の動き方

ソフトバンクは海外のカジノ(オンライン)に出資しています。ニュースにもなったので知っている人も多いことでしょう。

ヤフーやヒルトンホテル創業者グループ、ヴァージングループなども、オンラインですがカジノを経営しています。

ヨーロッパなどではカジノ運営会社がサッカーの公式スポンサーについている例もあれば、特にインターネットのカジノの有名会社は、多くが上場しています。カジノはずいぶんスマートなイメージです。

世界の動向

先進国の集まりであるOECD(経済協力開発機構)加盟34カ国で、カジノが合法化されていないのは日本とアイルランド、ノルウエーだけ。世界では110カ国以上がすでに公認し、69カ国が禁止しています。禁止されている国の多くがイスラム教国家で、イスラムの教義に反するというのが禁止の理由です。(東京都都市型観光資源の調査研究報告書2002年東京都)

カジノの国アメリカでも、ユタ州、アーカンソー州、ハワイ州の3州は、カジノに限らず宝くじも含め一切のギャンブルが禁止です。ユタ州は酒もタバコもやらないモルモン教徒の多い州で有名ですね。

韓国の熱狂

韓国は2000年にカジノを合法化したことで多くのカジノが誕生しましたが、1つを除いて外国人専用です。

韓国の国民がプレイできるのは「江原ランドリゾート」というカジノだけです。ソウルからクルマで4〜5時間ほどのところにあり、かつて炭鉱で栄えたものの廃鉱で寂れてしまっていた町です。2000年10月にカジノが開業し2003年にはホテルやレジャー施設ができ総合リゾート施設になりました。

江原ランドリゾートは韓国国民に大変な人気です。外国人専用の他の人気カジノと比較しても、場所は不便なのに引けをとりません。週末の開店時刻ともなると1000人規模の行列ができることも珍しくありません。このカジノは昼前から夜明けまで営業していますが午前中の数時間は閉まっているので24時間営業ではありません。

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“合法と違法のハザマ。ギャンブルを規制する賭博罪とカジノ” への1件のフィードバック

  1. Mr WordPress より:

    こんにちは。これはコメント例です。
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